+【徹底解説】高齢者虐待防止法とは?種類・定義も解説+
ここでは高齢者の虐待の定義・防止法について定められた、高齢者虐待防止法についてご紹介します。
高齢者虐待防止法とは?
◆概要
高齢者虐待防止法とは養護者・介護職員による主に65歳以上の高齢者への虐待を防止を目的に施行された法律です。
この法律は2006年より施行されており、正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」です。
高齢者虐待の定義を明確化・通報/相談窓口への通報を義務化しており、介護施設における高齢者虐待を起こさない・起きた際は迅速に対応することを促しています。
◆高齢者虐待が起こる理由、発生件数
◆理由
介護施設で介護職員による高齢者虐待が起こる理由は、「介護知識・技術不足」・「性格」・「人手不足」・「利用者・入居者の認知症」等があります。
本来介護施設では様々な介護レベルの人達が多くおり、1人1人の健康状態に合った介護サービスを提供する必要があります。
しかし様々な原因で介護職員のストレス増大、知識・技能不足が発生することで、高齢者虐待に繋がりやすくなります。
◆発生件数
介護施設における高齢者虐待の発生件数は、「相談・通報件数」が2,187件、「虐待判断件数」が621件となっています。
(引用元:平成30年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省より))
高齢者虐待の種類
高齢者虐待の種類は主に5つに分類されます。特に身体的虐待が特に多く、次いで心理的虐待が多く発生しています。
◆身体的虐待
身体的虐待は身体を痛めつける行為全般があり、具体的には利用者・入居者への暴力(殴打・ビンタ・火傷等)、過度な外出制限、身体拘束等が挙げられます。
◆介護等放棄(ネグレクト)
介護等放棄(ネグレクト)は介護支援の放棄・放任が挙げられます。具体的には入浴させない、十分な食事を与えない、部屋の清掃をしない、医療サービスの制限等が挙げられます。
◆心理的虐待
心理的虐待は脅迫・侮辱・無視等による精神的苦痛を与えることを指します。
◆性的虐待
性的虐待は利用者・入居者本人に対して、性的な嫌がらせをすることを指します。
具体的にはセックス行為だけでなく、裸の状態で放置する行為・キス・身体や性器への接触、猥褻な言葉も性的虐待にあたります。
◆経済的虐待
経済的虐待は金銭に関する虐待行為を指し、入居者・利用者が所持する金銭の無断使用・過度な使用制限等が挙げられます。
また所有している財産の無断売却もこちらに該当します。
虐待防止策
この見出しでは5つの虐待防止策についてご紹介します。
◆地域住民との交流・介護相談員の出向◆
介護施設は介護職員と利用者/入居者のみの閉鎖的な環境のため、内部の事情が外部に漏れにくいという特徴があります。
その特性故に施設内で虐待が起きていても、外部に発覚するまで時間を要することが多いのです。
そこで利用者・入居者と地域住民との交流を図ったり、介護相談員による相談会を設けることで、虐待防止に繋げることができます。
◆研修・教育の実施◆
介護施設全体で利用者・入居者への虐待を防止するためには、コンプライアンス意識の向上が欠かせません。
そのため事業所ごとにコンプライアンス研修の実施、冊子の提供等を行い、従業員のコンプライアンス意識を高くする必要があります。
◆ストレス対策の実施◆
介護施設の従業員による虐待の原因の1つにストレスがあります。ストレスの原因は様々ですが、ストレスが過多になると利用者/入居者への対応も悪化する傾向があります。
そのため日頃から以下の対応が必要になります。
①日頃からスタッフのストレスケアを実施する
②定期的にストレスチェックを受ける
③ストレスチェックの結果に応じた対応を行う
またこちらの記事とは別でストレスチェックに関する記事を掲載しているため、併せて読んでみて下さい。
◆迅速な状況報告◆
介護施設では業務の連携や利用者・入居者の状態等、毎日の状況報告が必須です。
万が一利用者・入居者に対する虐待行為が発覚した際も、上司・本部・行政機関への報告が必要です。
高齢者虐待防止に関するまとめ
ここまで高齢者虐待防止法の定義・内容・虐待の種類・虐待防止策についてご紹介しました。
介護施設における高齢者虐待は大きな社会問題の1つで、様々な原因があり発生しています。
ですがどのような理由であれ、高齢者虐待はあってはならないことです。
そのため高齢者虐待防止のためにできることを知り、実践する必要があるのです。
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